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式辞・法話

見真の日 9月の感話

「ある人」の存在を感じること

いよいよ文化祭が近づいてきました。今週から、7限目のHRが始まり、多くのクラスで企画づくりの雰囲気が加速したと感じている人も多いのではないでしょうか。ここでみなさんにぜひ考えてもらいたいことがあります。「いったいこの爆発力は誰が生み出したのか」ということです。
全員がいるという数の力が生み出しているのでしょうか、それとも文化祭が近づいてきたという緊迫感が生み出しているのでしょうか。これらの要因もあるかもしれませんが、私はそのどちらでもない、 「ある人の存在」 について話をしたいと思います。

あなたのクラスには、クラス企画を支えつづけた人がいます。その人は、仲間が集まらない夏休みにも1人教室に来て、企画を練ってくれていました。熱波の続く夏に、何度も買い出しに足を運んだ人がいました。お盆が明け、休みが終わりにさしかかるなかで、周りに呼びかけつづけた人がいました。雰囲気ができてこないクラスの実情にずっとヤキモキしてきた人がいました。そして今、クラスの雰囲気の高まりを見て陰ながら ほっ としている人がいます。
ひょっとしたら今の今まで意識をしてこなかったかもしれませんが、その人のおかげで、今があるのではないか、私はこのように思います。

私は、社会人になって人と一緒に何かを創るようになり、本当にいろいろな人に支えられて今があることを実感しています。初めて担任をもった3年間も、学年に途中から入らせてもらった時も、学年主任としてみなさんと向き合ってきた時も、そして今も。
「自由にやれ」と背中を押してくれた先輩の先生、自分にはできないことをどんどん実現してくれた後輩の先生、そういった仲間たちに励まされて、毎日の仕事を少しでも良いものにできるよう努力をしてこられた気がします。

「同朋生は巻き込まれ力がすごい」 これはみなさんの先輩の、ある時代の生徒会長が言った言葉です。普通、「人を巻き込む力」と言ったりはしますが、「巻き込まれる力」とはなんでしょう。
その先輩は次のように続けます。「同朋の生徒はみんな、根っからの良い人がめっちゃ多い。だから、必死になって走っている人の存在に気づいたら、きっと支えてくれる」。
その先輩が充実の高校生活を送ることができたのは、要するに背中を預けられるような信頼感をたくさんの人に持つことができたということです。

これから文化祭に向けて、ぜひ最後のいろどりをあなたに加えてほしい。そのためにも、あなたにも一歩を踏み出してほしいと思います。
クラスで最前線を走ってきた人に感謝とねぎらいの言葉を。そしてその人の信頼にこたえられるだけの頑張りを。

最後に、それぞれのクラスで、企画を支え続けてきたあなたに伝えたい。
あなたの頑張りは、既にアカデミー賞に相応しい。最後はどこかで線を引いてどこかのクラスが賞をとるかもしれないけれども、あなたが費やしたその時間、熱量、苦悩、こだわり、そのすべては何物にも代えがたい価値のあるものです。

信頼できる仲間たちと、文化祭最終日を笑顔で迎えられることを願っています。

教員 K

本校は弘長2年(1262年)11月28日に入滅された宗祖親鸞聖人のご命日を縁として、毎月28日付近の1日を 「見真の日」 とし、有志生徒による勤行と学校長や教職員による法話・感話をおこなっています。
「見真」とは、大無量寿経に説かれる 「五眼讃」 の一句 「慧眼見真 能度彼岸(慧眼は真を見てよく彼岸に度す)」 を出典とし、真宗本廟(東本願寺)の御影堂正面に 「見真」の額が掲げられていること、また親鸞聖人の大師号 「見真大師」 に由来します。