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式辞・法話

見真の日 6月の感話

私が尊敬する卒業生

今日は7年前に卒業したある女子生徒の話をしようと思います。
先日25歳になった卒業生が職員室に遊びに来て、高校卒業後にどんな生活を送っていたかについて話してくれました。私はその話から人生の教訓のようなものを感じたので、みんなにも聞いてもらいたいと思い見真の日にこの話をすることを決めました。

私は彼女が1年生だった時に担任をしていたのですが、彼女は小柄で笑顔の素敵な、しかしどこか弱々しい生徒でした。看護師だったお母さんに憧れ、彼女自身も1年生の時から看護師になりたい、外国で看護師として働きたいと話し、1年生の頃から熱心に数学や英語の勉強をしていました。
しかし彼女はあまり勉強が得意な生徒ではなく、特に数学が苦手で、出来の悪いテストが返却される度に、「あれ?っおかしいな…」という様子で苦笑いしている彼女の顔が面白くて、一緒に笑った記憶があります。
彼女はたくさんの看護の専門学校を受験し、たくさん不合格になりましたが、なんとかとある看護学校に合格し同朋高校を卒業していきました。

そんな彼女が7年ぶりに同朋高校の職員室に遊びに来てくれたのです。

彼女はなんとか看護学校を3年で卒業した後、救急救命で3年間看護師として頑張っていたそうです。「救急救命はさまざまな症状の患者さんが来るので大変だが、そのぶん看護師として早く成長できる。外国で看護師の仕事を探す時に、救命救急での経験は高く評価されるから、3年間頑張ってきました!」 と教えてくれました。そしてこの夏からカナダに渡って看護師として働くことも決まったそうです。

6年ぶりにあった彼女は、穏やかで屈託のない笑顔はそのままでしたが、どこか自信を感じさせる大人の女性になっていました。高校時代に苦手だった数学を諦めずに頑張り続けたこと。厳しい救急救命で3年間頑張ってきたこと。外国で働くために英語の勉強を続けてきたこと。彼女はさまざまなことを諦めずに頑張ってきました。

「夢のためにこつこつと努力を続けなさい」 というのはよく学校の先生が言いそうな言葉ですが、なかなか実践できる人は少ないのではないでしょうか。

今日は私が尊敬している卒業生の姿を紹介しました。

教員 S

本校は弘長2年(1262年)11月28日に入滅された宗祖親鸞聖人のご命日を縁として、毎月28日付近の1日を 「見真の日」 とし、有志生徒による勤行と学校長や教職員による法話・感話をおこなっています。
「見真」とは、大無量寿経に説かれる 「五眼讃」 の一句 「慧眼見真 能度彼岸(慧眼は真を見てよく彼岸に度す)」 を出典とし、真宗本廟(東本願寺)の御影堂正面に 「見真」の額が掲げられていること、また親鸞聖人の大師号 「見真大師」 に由来します。