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式辞・法話

見真の日 10月の感話

「調和」を作る力

今日は、私が最近ちょっと気になった体験についてお話ししたいと思います。

私は、先日閉幕した大阪万博に、閉会式前日に出かけきました。
事前に「かなり混むよ」と聞いてはいましたが、想像以上のものでした。
会場に着いた瞬間から人の波。前に進むのもやっとで、人が多すぎて思うように動けない。正直、「これは大変だ、何も見られないかもしれない」と少しイライラしました。

でも、誰もが人の多さにうんざりしているはずなのに、ふと気づくと誰もが自然に、道を譲り合っていました。
小さな子ども連れの人がいれば、周りがそっと空間をつくる。ぶつかりそうになれば「すみません」「どうぞ」と、見知らぬ人同士が声を掛け合って、周りが静かに道を空ける。誰かが立ち止まれば、後ろの人も自然に止まる。少し動けば、全体がスッと動き出す。外国からの来場者とも、言葉は通じなくても、笑顔や身ぶりで通じ合っている。
まるで見えない呼吸を合わせているようで、「ああ、どこの国の人でも“相手を思う心”は同じなのだな」と改めて実感しました。

そんな混雑している中でも、いくつかのパビリオンやステージ、ショップを見ることができました。どれも、未来社会のデザインを表現した、とても素晴らしいものでした。
その中で、人と人との間にあった、小さな思いやりや、譲り合いの姿は、私の心に残った物のひとつでした。

それを見て、人間には「調和をつくる力」が本来備わっているんだと改めて感じました。
国や文化が違っても、私たちはみんな「うまく共に生きよう」としている。それこそが“共存”という、世界共通のテーマなのでしょう。

そしてこの「調和をつくる力」は、特別な場所だけでなく、私たちの日常の中、そして心の中にもあると思います。
たとえば、勉強や部活、家のことなどで、「やらなきゃ」と焦る自分と、「ちょっと休みたい」と願う自分、その2つの気持ちの間で揺れることがあります。
みなさんもそんな経験ありませんか。

その時、どちらかを無理に消そうとすると、結構なストレスになります。
では、無理にどちらか決めるのではなく、その二つを上手に調和させていくのはどうでしょうか。
大切なのは、どちらも自分の大切な声だと認めて、うまくバランスを取っていくことだと思います。

心の中の葛藤を中和させるための、よく知られた方法として、「気持ちや考えを書きだして可視化する」というものがあります。
私自身の話なのですが、毎日、日記を書いています。書くことで、心の中のモヤモヤが整理される。そんな感覚があります。
気持ちを書き起こすって、思っているより効果があるかもしれません。

今、何かに迷っている人も、そうでない人も、一度、心の声を文字にしてみることで、自分でも気づかなかった何かに気づくかもしれません。

教員 S

本校は弘長2年(1262年)11月28日に入滅された宗祖親鸞聖人のご命日を縁として、毎月28日付近の1日を 「見真の日」 とし、有志生徒による勤行と学校長や教職員による法話・感話をおこなっています。
「見真」とは、大無量寿経に説かれる 「五眼讃」 の一句 「慧眼見真 能度彼岸(慧眼は真を見てよく彼岸に度す)」 を出典とし、真宗本廟(東本願寺)の御影堂正面に 「見真」の額が掲げられていること、また親鸞聖人の大師号 「見真大師」 に由来します。