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式辞・法話

修了式 式辞

式辞

本日は、修了式です。
中庭の川津桜も満開の時を過ぎて、花に若葉が混じる季節へと移り変わりつつある今日、みなさんとこうして令和6年度の締めくくりを迎えることができたことは、格別の思いがあります。

ところで、1学期や2学期にも節目の日があったと思いますが、3学期だけはこの日に対する呼び方が異なります。1学期、2学期は「終わる」の文字が使われた終業式なのに対して、3学期だけは「修める」の文字を使い、修了式と呼びます。終業式と修了式、一体何が違うのでしょうか。

夏休み前、冬休み前の終業式は、「1学期が、あるいは2学期が今日で終わりましたよ」という区切りの意味を持っています。終業式ではその学期の頑張りをたたえるとともに、ここから始まる長期休暇もしっかりと生活してくださいという確認をする、節目の一日です。
本日の修了式の「修める」という文字。私たちは一体、何を修めたのでしょうか。同じ「修める」の文字が使われている修学旅行を参考に考えてみましょう。

修学旅行といえば、2年生音楽科の皆さんが2月末から3月初旬にかけて、ウィーンとザルツブルグへ行ってきました。
音楽の都で本場のオペレッタに触れたり、大聖堂で歌を歌ったり、ウィーン少年合唱団の子どもたちの練習風景に立ち会ったりと、音楽科ならではのプログラムです。
出発前に、到着先の空港でストライキが起きて、飛行機が飛ばないかもしれないという心配もありましたが、終わってみれば、旅程をしっかりと味わい尽くして帰ってくることができたようです。
深夜に名古屋駅へ到着する生徒たちの姿からは、もちろん疲れ切ってはいましたが、学びや発見、感動に満ちた充実感を感じることができました。

普通科・商業科の修学旅行でもそうですが、個人で行く観光旅行ではなかなか足を運ぶことがないところ、修学旅行だから入らせてもらえる所などもあり、修学旅行にはさまざまなわくわくがあふれています。日常生活では出会えないような人との交流なども大変刺激に満ちた体験となったことでしょう。

このように、「修める」という文字に込められているのは、「学を修める」とか「身を修める」といったことなのだと考えられます。

「学を修める」とは、「学びによって力を身につけ、能力が成長する」という意味です。
「身を修める」とは、「気づきによって心や行動が整い、人として成長する」という意味です。
つまり、修了式とは、ただ「今日で終わります」という意味ではなく、この1年間、私たちは頑張り、努力してきました。そして、いろいろなことができるようになりました。ということをみんなで振り返り確認する日なんだということです。

みなさんの成長ということで思い出される直近のできごとと言えば、卒業式です。
コロナの大変な時期を乗り越えて、全校生徒での卒業式が同朋高校に戻ってきました。
3大行事のなかでも、特に卒業式は、在校生も卒業生も、保護者も教職員も、全員が同じ方向に向かって必死で準備しているということを感じられる、素晴らしい行事だと個人的に考えています。
在校生の皆さんが準備してくれた、思いのこもった構成詩。恐竜が入ってくる涙と笑顔の交差する企画。メッセージ旗や、桜の木や、花道に用意されたカーテンと担任団の写真。
さまざまなかたちで多くの在校生が卒業式に彩を添えてくれました。
在校生合唱では、学年練習やリハーサルの時からもちろん本番も含めて、本当に美しい歌声を体育館に響かせてくれていました。

どうなることが卒業式の「成功」なのか。
それぞれがそれぞれの立場で考え抜いた先に、あの感動の式が生まれたのだとするならば、まさにそれを準備していた期間も含めて、みなさんにとってはさまざまな学びや気づきがあったのではないかと思います。

成長ということでもう1つ頭に浮かんだのは、学年末考査です。
1年間の総決算である学年末考査を乗り越えて、みなさんは今日の日を迎えています。
各学年で用意してもらった学習会でしっかりと力をつけたり、毎日職員室に質問をしにきたりと、それぞれの目標地点に向かって、前を向いて努力できたことは、次につながることであろうと思います。

最後に、部活動やクラ連の生徒たちの頑張りです。
このあと、離任式そして壮行会が続きますが、壮行会では全国私学ソフトボール大会へ出場する男子ソフトボール部と、愛知県新人大会で優勝の快挙を果たした女子蹴球部が紹介されます。
1つの大きな壁を突破して、先の景色を見られるということは、とても大きな価値があります。
明日は、吹奏楽部の定期演奏会がありますが、仮にそうした壁や成果が優勝や発表と言った結果としてかたちになってこなかったとしても、多くの部活で日々打ち込んだ時間は、あなたを決して裏切りません。

1・2年生の自主活動日は、どちらもシンプルな球技大会ではなく、謎解き要素を入れ込んだ新しい形の自主活動日でした。500人近い人を3時間引き付けるような行事を創ることがどれほど大変か。前日も遅くまで残って準備を行っていた生徒たちは、きっと仲間の笑顔を見た時に、ほっとしたのではないかと想像します。
各クラスで、改めてその頑張りに「ありがとう」と伝えてあげてほしいと思います。

今日でそんな学びと気づきに満ちた1年が終わります。
春休みによき準備をして、1つ上がった学年で、さらに成長し続ける皆さんであることを願って、式辞といたします。