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式辞・法話

見真の日 2月の感話

幸(さき)くとばかり歌ふなり

先日卒業式を終えた3年生は、それぞれの道へと歩みを進めました。
体育館に響いた最後の校歌、学年を代表して読み上げられた構成詩、涙を浮かべながらスクリーンを見つめる姿――。式の最中、彼らの表情には喜びや誇り、そして少しの寂しさが混じっていたように見えました。
同朋高校で仲間とともに積み重ねた努力や経験が、彼らの人生の大きな支えとなることを願います。

さて、合唱練習の際、音楽科の先生が「『蛍の光』は、卒業という節目にとてもふさわしい曲だ」とお話しされていましたね。私自身もその通りだと思いましたし、年を重ねるにつれ、どんどん心に染みる曲となっています。

「心の端をひと言に 幸(さき)くとばかり歌ふなり」

これは2番の歌詞の一節です。

別れの場面では、次から次へと伝えたい言葉が浮かんだり、逆に感情が溢れて言葉にならなかったりするものです。
そんな中で、お互いが選んだ言葉は「幸く」――。「達者で」とか「幸せに」という意味の言葉です。
3年生は、みなさんと過ごした日々を胸に刻みながら、この校舎を後にしました。そして私たちもまた、感謝や尊敬の気持ちを「幸く」に込めて彼らを送り出したのです。

では、3年生を送り出した私たちは、これからどうすればよいのでしょうか。

私は、彼らが示してくれた努力や経験を受け継ぐこと。そして、来年、再来年には、自分たちが後輩に何かを残せる存在になることだと考えます。
部活動や学校行事、生徒会やクラ連、日々の授業の中で、彼らが築いてきたものをさらに発展させ、より良い同朋高校を作ってほしいと思います。
『蛍の光』で歌ったように、今の想いを一つの言葉に込め、今、お互いに伝え合うとしたら「これからもよろしくね」ということなのかもしれません。

今日という一日も、みなさんの未来を形作る時間です。大切に、そして楽しんで過ごしましょう。

教員 T

本校は弘長2年(1262年)11月28日に入滅された宗祖親鸞聖人のご命日を縁として、毎月28日付近の1日を 「見真の日」 とし、有志生徒による勤行と学校長や教職員による法話・感話をおこなっています。
「見真」とは、大無量寿経に説かれる 「五眼讃」 の一句 「慧眼見真 能度彼岸(慧眼は真を見てよく彼岸に度す)」 を出典とし、真宗本廟(東本願寺)の御影堂正面に 「見真」の額が掲げられていること、また親鸞聖人の大師号 「見真大師」 に由来します。